三つ子の魂百まで……問題は「教育」や「しつけ」ではない

「三つ子の魂百まで」という言葉について。

 「三つ子の魂百まで」という言葉がある。真実をついた驚くべきことわざだ。
 3歳までの教育は極めて大切であり、その教えは100歳までも影響するということだ。
 その大切な教育を、かつて日本中の家庭で行っていた。
 【学力低下、学級崩壊、悩む先生… 真犯人はこいつだ】3歳までに何を学ぶか

 この記事を書かれた向山先生はTOSSで有名な方なので、「教育」という視点から言及していることは理解できます。

 それにしても、乱暴な解説ではありませんか?
 もともと「三つ子の魂百まで」という意味の捉え方には、様々な意見があります。ことわざ辞典などには「幼い時に身につけた性格は、死ぬまで続く」といった内容のものもありますね。
 それが災いしてか、「3歳までに大切なことを身につけさせねばならない」と、一種の恐怖観念にとらわれて、やれ3歳までにしつけねば、3歳までにいい性格にしなければ、3歳までに……と、しつけや教育にやっきになっている人も多いはず。

 よく、ディズニーの「ワールドファミリー」英語システムの教材を見るのですが、その宣伝には、やはり幼い時から英語に親しませましょう、とビデオによる英語教育を赤ん坊の時から始めよう、という内容のものもあります。
 赤ちゃんの時から、英語ビデオを親しませたから、小学校では英語がペラペラになりました、と紹介されている子どもさんが、メガネをかけていました。英語が喋れるようになるのはいいのですが、何か別の大切なものも失ってはいないかという気すらしましたが、それが今日の本題ではありません。

 さて、「三つ子の魂百まで」について、明橋大二先生は「子育てハッピーアドバイス2」の中で解説していますね。

 明橋先生の場合は、やはり「自己評価」の立場からの解説でした。

 3歳までの子どもの脳の発達は著しく、この時期に、周囲からの愛情に包まれ、安心できる環境の中で育てられることは、とても大切なことです。
 (中略)
 3歳までにいちばん大切なことは、子どもに安心感を与え、自分はこの世の中に、生まれてきてよかったんだ、周りは自分を大切にしてくれるんだ、という、基本的信頼感、自己肯定感を育むことなのです。


 つまり、3歳までに、しつけ、すなわちルールや、相手への思いやりなどを十分理解させることは、まだまだ無理、というのが明橋先生の指摘です。
 私もそう思います。
「三つ子の魂百までだから」と、無理強いすると、叩いたり、恐怖で子どもをコントロールしようしがち。今話題の「虐待」にもなりかねません。
 そういえば「虐待」する親の言い訳は「しつけとして」が多いのも頷けます。

 そして明橋先生のいいところは、「たとえ3歳までにできなくても、後からでも十分取り返すことができる」ということです。

 だから、急ぐ必要は無いんです。

 「教育」という言葉を、3歳までの子どもに持ってくる必要も、無いのかもしれません。