父親の育児「参加」

父親の育児参加について、色々と取り上げられるようになり、一つの社会問題として見られるのは、ある意味有り難いことだと思っています。

「母親の育児に協力するというのではなく、男も子育てを楽しみたい。そもそも、自分の家庭や自分の子供のことなのに、『家族サービス』『育児協力』というのは、おかしいでしょう。育児は、主体的にやらないと楽しくないんです。子育てという楽しみを満喫したかったら、子供ができた時点で自分の中の“OS”を入れ替えよう、といつも言っています。古いOSのままだと、フリーズしてしまう。ことによると、離婚という強制終了が起こってしまうかもしれない」
父親たちよ、育児は「協力」ではなく 主体的に楽しむべきです

父親のOSを入れ替えよう、というのが楽しいです。
その「OSの切り替え」ができない人が多いのが、現状のようです。
また、「切り替え」したくても、周囲の状況がそうさせないのも、大きな問題だと思います。

父親も、会社などの父親を取り巻く環境も、WindowsからMacintoshに切り替えるぐらいの、大転換が必要なのかもしれません。


ともあれ、自分の子どものことなのに、「子育てに協力する」という考えそのものが、「子育ては母親の仕事」という考えが固定されていることが原因なのでしょう。

それは、明橋大二先生も指摘していて、「子育てハッピーアドバイス1」の「今からできる、お父さんの子育て」という章に分かりやすく書かれてあります。

つまり、父親にとって、子育てとは「手伝ったり」「参加したり」するものではなく、父親になったときから、母親と同じように、日々の生活に、当然ついて回るものなのです。

上のNBオンラインの記事のように紹介されると、「素晴らしい父親だな」と思う人が大半なのでしょうが、本当のことを言えば、「当たり前のこと」なのだと思います。


ただ、指摘のように

しかしそうは言っても、男性の子育てには課題は多い。男性も育児休業を取れる制度があっても、それを利用する風土がない企業も多い。男性が子育てに参加しようとすると、「仕事をあきらめた」と見られてしまうのが男社会だ。

父親の置かれている環境も、そうやすやす「育児」できるものではないようです。
母親は、それが分からず、子育てをまともにしない夫に八つ当たりをするものなのですが……。

父親が育児をするには、会社の上司や同僚の理解が必要です。
しかし、周囲が「男は仕事、女は家庭」という価値観の持ち主だと、とても難しいのが現状です。
(子育てハッピーアドバイス1)

と、明橋先生が指摘している通りです。

ハッピーアドバイスの本では、この後「そんな父親でもできる子育て」の方法が書かれてあるのですが、それはとりあえず置いておいて、父親を周囲、社会全体、または政治の世界でも、大いに「改善」していってもらいたいところです。
それも、「少子化対策」の一つでしょう。


それについて、興味深い記事をもう一つ。

親になったばかりの人は、要求の厳しい職業に就いている場合や、上司から休暇を歓迎するようなしないようなあいまいなシグナルを受け取った場合は、法律で保証されている長さの休暇を取りたがらないことが多い。特に男性は、子供の世話をするために休暇を取ることが社内でまたは社会的に低く見られる傾向がある。
育児休暇をめぐる5つの落とし穴

これは海外の例なのですが、どの国でも似た状況はあるようです。

こういった現状に、

カリフォルニア州ハワイ州およびニュージャージー州では、一時的労働不能保険(Temporary Disability Insurance:TDI)という形で賃金を補償してくれる。TDIは給与天引きによって雇用者が資金を提供する。ロードアイランド州は、妊娠や出産などの医療上の理由で働けない人に対して賃金の一部を補償してくれる。モンタナ州ミネソタ州は、低収入の家庭で片方の親が子供の世話をするために家にとどまることを選択した場合に、ある程度の収入を補償してくれる。

州によっては、しっかりとした育児支援がなされています。

日本の少子化も、こういった例を参考にして環境を整え、父親が本来あるべき形で「育児」できるようになってもらいたいと願っています。



追記して、安藤さんの記事から。

組織の中で働いていれば、どこでも軋轢はあります。今の職場なんて、結婚している人すら少ない。でも僕は、『朝の会議には出ない』『早く退社する』と申請して、許可をもらっています。こういう働き方に関して、子供のいない男性は批判的ですが、子供のいる男性は『よくやってくれた』と言います。一方、女性は『安藤さんだから、(そういう働き方は)当然』という目で見てくれる。

周囲の目を気にせず、堂々と育児するのも、一つの手。
なるほど、「子どものいない男性は批判的」でも、子どものいる男性には、正にトップランナー
仕事ができる人、でないと、なかなか難しいのかもしれませんが……。

そういった、先頭に立つ人が会社に一人現れてくれると、頼もしいですね。


がんばって、お父さん!